大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成元年(わ)1427号 判決 1990年1月18日

国籍

中国(台北市復栄昆明街一七四-六六四)

住居

大阪市中央区島之内二丁目四番三四号

焼肉店経営

安田利枝こと

李貞順

一九三七年一〇月一六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官山田廸弘出席の上審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市中央区東心斎橋二丁目三番一七号(旧南区玉屋町二一番地一八号)外において、「国際クラブ金浦館」等の屋号で料理飲食業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、昭和六二年分の総合課税の所得金額は九〇五四万三五九円、分離課税の短期譲渡所得金額は一億八〇二九万八六七五円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、分離課税の短期譲渡所得について、土地建物の譲渡に関する架空の原価及び経費を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、昭和六三年三月一六日、大阪市中央区(旧南区)谷町七丁目五番二三号所在の所轄南税務署において、同税務署長に対し、右年分の総合課税の所得金額は四五六万七〇〇〇円、分離課税の短期譲渡所得金額は五五四四万三四六〇円で、これに対する所得税額は三〇六二万六六〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、正規の所得税額一億六五四四万六七〇〇円と右申告税額との差額一億三四八二万一〇〇円(別紙(二)税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  収税官吏作成の被告人に対する質問てん末書四三通

一  山口曜一こと崔元根の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の曲国華(三通)、山口曜一こと崔元根(二通)、芳野正子こと李正禮、野村安廣、矢追武夫、中村博文、藤松笑子、松木栄一、佐々木義雄、岩見ゆり子こと韓槿峯、新谷健一、木原淑郎、辻敏一、寺岡康夫、南作市、石村英夫、中西一郎、倉澤由昭、高原太雄こと高道源、福田俊一、田川明子こと姜明子(二通)、山際敏子、立田美和子、空門晃、山田原司郎、福田美斉こと鄭美斉、原田林こと李林、崔徳煕、柳明姫、松永幸子、鈴木正明(二通)、丁海淑、和泉定男、福島實及び渡辺千加子に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書六九通(検察官請求分証拠等関係カード番号3から71)

一  収税官吏作成の脱税額計算書

一  南税務署長作成の証明書

一  検察事務官作成の電話聴取書二通

(法令の適用)

被告人の判示所為は所得税法二三八条一項に該当するので、所定の懲役刑と罰金刑を併科することとし、なお罰金額について同条二項を適用した刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金三五〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、刑法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 的場純男)

別紙(一)

修正損益計算書

(安田利枝こと 李貞順)

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

修正損益計算書

事業所得

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

修正損益計算書

不動産所得

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

雑所得

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

修正損益計算書

総合短期譲渡所得

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

分離短期譲渡所得

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

別紙(二)

税額計算書

安田利枝こと李貞順

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例